地方公共団体の持っている公共施設の大半が1970年代に整備された。
そのころ整備した公共施設の更新の第2のピラミッドが到来しようとしている。
(写真上参照)
出典:日本公認会計士協会 公会計協議会主催セミナー「地方公会計情報のマネジメントへの活用」 インフラ資産の老朽化から考察する公会計情報の活用
しかし、もう高度成長期のときのようにお金を準備することはできない。
高齢化社会の到来により社会福祉費に回さないといけないからだ。
社会保障費を減らせないなら、公共施設は極限まで減らさないといけない。
このピラミッドのような過去の整備状況を初めて目に見える形にしたのが、習志野市だ(上記の写真右下参照)
会計の専門家は、どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのですか。
これは昨年9月に、日本公認会計士協会で行われた「地方公会計情報のマネジメントへの活用」セミナーで東洋大学の根本教授がお話されたときの一コマです。
私はこのセミナーには参加しなかったのですが、会計士協会からこの時のセミナー資料とDVDが送られてきていました。
遅ればせながら、昨日DVDを視聴しまして、先ほどのような手痛い一言を投げかけられたのです。
手痛いというのは、まさに私も会計の専門家であり、このような公共施設のマネジメントなどについて会計の観点から取り扱っているためです。
がーん、確かに。
早速手元にあったいくつかの自治体の固定資産台帳を引っ張り出し、計算してみました。
計算といっても、データをピボットでソートし、グラフにするだけです。10分ほどでできました。
グラフ化したのがこちら。
(単位:百万円)
おーなんとも美しいピラミッド。
こちらは以前作成したものですが、同じく同じ団体の固定資産台帳から、将来40年間の更新費を試算したものです。
非常に単純で、今持っている資産を耐用年数が到来した時に同じ金額で更新をしたらいくらになるかという試算です。
こちらは所要時間30分ほど。
(単位:百万円)
固定資産台帳から将来の更新費が簡単に試算できることは実証済み(2つめのグラフ)でしたが、これまで取得した公共施設等の取得状況が一瞬で把握できる(1つめのグラフ。根本先生にしかられた方)のは衝撃でした。
ちなみに、この団体の現在の予算水準からすると、現在保有している公共施設は2/3に減らさないと予算は持ちません。将来人口が減少すし、税収が減少することを加味すると、2/3どころではすまないことが一瞬でわかります。
どれくらい減らさないといけないかは団体により様々ですが、先日試算した他の団体は、2/3減らさないといけない(1/3減らすのでなく、2/3減らすのですよ)という結果となりました。
これは人口減少も、物価の上昇も、更新費も最後の解体費も加味していないので、もっと減らす必要があるだろうと推測されます。
根本先生が、極限まで公共施設を減らさないといけないとおっしゃるのはデータから見ると明らかです。
それが、たかだか数十分の簡単なエクセルの計算で可能です。
そのほか、根本先生は、
ダメな現状 大多数の無関心と少数の大反対(自治体あるあるに登録決定)
望ましい未来 全員参加の冷静な議論
1回あたりに許容される図書館の貸出コストは?など
興味深いお話をされていました。
今後、そちらについてもお話していきたいと思います。