地方財政あれこれ

地方財政に関心のある会計士のブログです。地方財政ネタに限らず、日々学んだことをお伝えしていきます。

【参加報告】大阪女性元気です!大阪サクヤヒメ×SDG’sフォーラム

2018年11月19日、関西学院大学大阪梅田キャンパスにて、「大阪サクヤヒメ女性管理職SDG’sフォーラム」が開催され、参加してきましたのでその様子をレポートします。

 はじめに

そもそも、「大阪サクヤヒメ」とは何か、ですが、これは大阪商工会議所が2016年から女性の活躍推進を目的に、関西で活躍する女性管理職を古事記に出てくる強く美しい女性であるサクヤヒメになぞらえ表彰する制度です。

今回のフォーラムは、受賞したサクヤヒメ有志が集まり、SDG’sと自分の仕事のかかわりを確認し、SDG’sを通じ女性リーダーがパートナーシップを組んで大阪を発展させるための提言を策定することを目的とし、開催されたものです。

私の元職場である有限責任あずさ監査法人の同期女性会計士は法人のパートナー(役員です)にもなり大活躍中なのですが、このサクヤヒメ賞を受賞し、フォーラムに誘ってくれて参加してきました。

会場に着くなり、熱気むんむんです。あちこちで名刺交換している人あり、指定されたテーブルに着くと、もうみなさん輪ができていて、熱心に話し込んでいます。

フォーラムが開始し会場を見渡すと、6人掛けのテーブルが16、ほぼ埋まっています。そして、事務局の女性スタッフと講師の方。今回は女性限定ということで講師の男性お一人を除き、100人前後の女性が一堂に会しています。

テーブルの方と名刺交換しましたが、役職も業種も多彩です。

ハウスメーカー、製薬、生保、文化振興、広告、役職も役員から部長、課長などいろいろです。

今日のフォーラムは、SDG’sカードゲーム、企業のSDG’s先進事例としてリコージャパン㈱の事例発表、グループディスカッションとグループからの提言の大きく3つからなっています。

それぞれ説明していきます。

SDG’sカードゲーム 一般社団法人イマココラボ

  最初は、一般社団法人イマココラボによる、SDG’sの解説と、SDG’sを題材としたカードゲームでした。

一般社団法人イマココラボ 能戸氏より、最初にSDG’sの意義についての説明がありました。

SDG’sとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。

SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

みなさん、このような17の目標が書かれたロゴマークを一度は目にされたことがあると思います。

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そして、カードゲームの説明がありました。

ご興味がある方は、イマココラボのHPをご覧いただきたいのですが、与えられた時間とお金を使ってプロジェクトを進め、その結果2030年の世界がどうなるかを見ることを通じて、世界的な目標(SDG‘s)設定の必要性を体感しようというゲームです。

https://imacocollabo.or.jp/games/2030sdgs/

 

会場を世界に見立て、2手に分かれ、2つの世界を作ります。

3人1組がチームとなり、2つの世界にそれぞれ16チームができました。

チームで1枚ゴールカードを引きます。

ゴールカードは下記の5種類、私たちのチームは、悠々自適です。カードには、2030年のゴールとして、時間15枚を集めることと書かれています。

 

大いなる富(お金が大事)

悠々自適(時間が大事)

貧困撲滅の聖者

環境保護の闘士

人間賛歌の伝道師

 

それぞれのチームに、お金100Gカード5枚と、時間カード10枚、プロジェクトカード2枚が配られます。

プロジェクトの実施には、お金や時間が必要で、それぞれにより異なっています。

プロジェクトの結果、お金や時間が増えたり、世界に経済的な富をもたらしたり、環境をよくしたり、社会をよくしたり、あるいは悪化させてしまうカードも混じっています。

 

2つの世界には、それぞれホワイドボードが置かれ、世界の状況を表す状況メーターが設定されています。その世界の状況は、次の3つであらわされています。

経済 青いマグネット5つ GDPやお金の状況を表す

環境 緑のマグネット5つ CO2、災害等の環境の状況を表す

社会 黄色のマグネット5つ ジェンダー、貧困、犯罪などの社会的状況を表す。

 

プロジェクトを実施すると、マグネットが増えたり、減ったりします。

2030年の段階で、10に増えていれば達成となります。

ですので、チームの目標と、ホワイトボードであらわされる世界の目標の2つが存在します。

 

そして、ゲームスタート。

各チーム、プロジェクトを実施してもいいし、自分の目標のために、時間を集めるためお金を必要としているチームにお金で時間カードを買ってもいいし、様々な形で活動を進めます。

時間が来て、いったん中間報告。

すでにチーム目標を達成したというチームもあれば、まだのところも。

ホワイトボードの世界の状況を見ると、経済が圧倒的に伸び、マグネットが増えていますが、環境、社会が経済に及びません。

これって、住みやすい世界とは言えないんじゃないかという状況です。

 

冷静に振り返ると、チームの目標達成しか考えておらず、世界の目標はまったくと言っていいほど意識していなかった結果です。

講師が、チームの持っている目標カードを見直すよう促すと、そこには、時間カード15枚を集めるほか、2030年に豊かでないといけないと書いてあります。

 そこで初めて、そうか、自分たちのチームの目標達成だけでなく、世界の状況にも気を配りながらプロジェクトを実施しないといけなかったのだ、とやっと認識しました。

 

そして後半戦再開。

自分チームの目標達成ができるよう考えながらも、環境や社会のマグネットが減ってしまうような行動は避けようと配慮しながら動くことができました。

しかし、結果的に、やはり経済が目標の10を大きく上回っているものの、環境、社会は目標に届かず、という結果でした。

 

このゲームを実施しての気づきは次の通りです。

・自分のチームの目標だけを見せられると、目標を達成してゲームに勝つことが目的となり、その行動をした結果に意識が向かない。しかし、世界の目標も同時に達成する必要があると知らされることで、この行動の結果世界にどう影響を与えるのかといったことや、他のチームの行動の結果にまで気が回るようになり、他のチームも含めて全体で目標を達成しようという意識となる。

・他のチームが持っているリソースが明らかで、そのチームと交渉することができれば、チーム目標の達成がスムーズになる。しかし、チームの状況がうまく開示されていないチームや、リソースがありそうなのに担当者不在で交渉ができず、目標達成に結びつかない場合があった。リソースがあることや、自分たちのチームが何を必要としているかをわかりやすく開示することが必要であること、交渉が可能となるようにすることが必要である(現実社会でもどこにコンタクトしていいかわからないということが起こりがちである)。

・これについて、のちほどの発表で、自分たちがこのカードを必要としているということを明らかにすれば、他のチームが進んで協力してくれた、とコメントしたチームがあった。自分たちだけで解決しようとせず、進んで助けを求めることも必要である。

・お金を生み出すプロジェクトは経済メーターがプラスになる一方、社会、環境メーターを減らすことになるものが多い。環境メーターを増やせるプロジェクトはお金がかかるものが多い。経済活動を優先すればどうしても環境が悪化することになり、現実社会と同じ。

特に私たちは気づかず経済活動を優先する行動をしている。

たとえば、スーパーでとにかく価格を優先する→コスト低減のために子供を労働力として使う、森林を伐採する、劣悪な環境で働かせるといったことが世界規模で起こっている。

・現実社会で問題なのは、特に経済活動において、どこまでを達成ラインとするかが明確でないこと。私たちはどこまでも安さ、速さ、快適さなどを求めてしまい、ほどほどでとどめることや、どこが適当かの判断がしづらい。また、自分たちの行動の結果が与える影響は複雑で測ることが難しく、そもそも意識もしていない。意識したとしても、ゲームのように行動との関係が明確な世界メーターがあるわけではなく、行動の結果が測りづらい。

 

そして、講師の解説がありました。

講師によると、女性の方が目標の達成率が高いそうです。男性に比べ女性の方がコミュニケーション能力が高いことがその理由だそうです。

目標達成率を上げるには各チームのリソースをうまく使うことがカギとなるため、コミュニケーション能力が要求されます。

確かに、会場に足を踏み入れた際、活発に名刺交換や雑談が行われ、大賑わいでした。女性のコミュニケーション能力とパワー、生かしていかない手はありません。

また、ある会社でこのゲームをしたとき、チーム間でお互い助け合おうともしない会社もあったそうです。

その会社のカラーが如実に出てしまうようですが、そのような会社の今後の業績がどうなるかは推して知るべし、という気がしました。

 今回のゲームを通じ、みんなが認識したのは、世界としての目標の必要性です。

その目標がSDG’sということになります。

このゲームをするまでは、SDG'sや17の目標があることは知っていましたが、その必要性までは認識していませんでした。

環境や社会のメーターを意識し、自分ができることを実践するのももちろんですが、もっとこの目標をみんな知ってもらわないといけないなあ、と思いました。

 

次の講義は、私たちができることは何かを考えるため、企業のSDG’s先進事例であるリコーSDG’sの取組みの紹介がありました。

リコーにおけるSDG’sの取組み

リコーグループではSDG’sを経営の中核に据えた取組みを行っています。

https://jp.ricoh.com/sustainability/sdgs/

その取り組みの一つとして、SDG’sの目標の一つである「4.質の高い教育をみんなに」にかかる取組みの紹介がありました。

行政に関することなので、ここでご紹介します。

リコーでは「遠隔授業ソリューション」システムを開発しました。

学校同士をテレビ会議システムでつないで、まるであたかも同じ教室で授業を受けているかのような臨場感をもちながら、遠隔授業を行うシステムです。

NTT西日本のCMでその様子が流れているそうなのですが、下記のサイトを見ていただくとイメージが分かると思います。

http://www.ricoh.co.jp/solution/vc/scene/remoteclass/

 

愛媛県西条市の小学校の導入事例の紹介がありました。

学校に生徒が16人しかいません。

少人数でメンバーも固定されているため、多様な見方、価値観を身に着けにくいといった問題がありました。

統廃合の選択肢もあったそうですが、小学校は地域コミュニティの核として、避難所にもなっており、統廃合はしないと決めたそうです。

そこでこの学校をつなぐ「遠隔授業ソリューション」が導入されることになりました。

効果として、スクリーンの向こうにいる同級生に対し意見を言わないといけないことから、自然と声が大きくなったそうです。また、ほかのいろんな意見が聞けて、刺激を受け、積極的に発言するようになったそうです。

 

そのほか、SDG’sを会社で積極的に導入した効果として、CSRは会社のブランド力強化にもつながっていること、従業員が自分の仕事や会社に誇りを持てるようになったことなどの紹介がありました。辞めるのを思いとどまった人もいたそうです。

 

その話を聞きながら、SDG’sを達成するために自分の会社で、個人でできることは何だろう、と考えます。

講師からは、個人でできることとして、

持続可能性等の認証マークがついたものを購入する。

フェアトレード製品を購入する。

などの紹介がありました。

ゴミを極力出さないようにする、ゴミの分別やマイカップ、エコバッグなどもあります。

企業としてできることとして、リコーのように事業として展開する以外にも、安全運転をすること、保全活動のボランティアすることなどもSDG'sにつながる活動とのことです。

 

そのほか、SDG’sに積極的に取り組んでいる企業として、吉本興業の紹介がありました。

http://www.yoshimoto.co.jp/sdgs/

吉本興業がSDG’sに熱心とは知りませんでした。

動画が面白いとのことでしたので、さっそく見ましたが、SDG’sを楽しく理解するには、吉本興業はうってつけです。

下記の動画をどうぞご覧ください。

https://youtu.be/9byuMdW6ffY 

グループディスカッション・提言の発表

最後は、テーブルごとのディスカッションタイムでした。

SDG'sのテーマ 5ジェンダー平等、8働き甲斐、11街づくりからどれかを選択し、これについて自分たちができることについて提言を作成します。

私たちのテーブルは5ジェンダー平等を選択し、女性のコミュニケーション力を通じてジェンダー平等を達成するという提言を作成しました。具体的には、今回の話を社内や顧客に伝えたり、私はブログで発信することを約束しました。(そして、今ブログを書いています)

半年後には振り返りをするため、再度集まりましょう、ということになりました。

 

最後にいくつかのグループが提言を発表しましたが、自分から進んで発表したいというグループがいくつもあり、女性パワー全開です。

 

面白いなと思ったのが、「サクヤトノ育成プロジェクト」。

男性経営者、管理職を次のステップで育成し、SDG’sの伝道師に仕立てます、というものでした。発想が面白い。

ステップ1 インターネットでの360度評価

ステップ2 変革 管理職のワークショップ

ステップ3 優秀者を表彰

ステップ4 伝道

 

最後は16グループの提言がホワイトボードに並びました。

大阪女性パワーで、SDG’sを通じて大阪が活性化していく様子、ぜひ応援してください。

そして、参加された皆さま、事務局、講師の皆さま、お疲れ様でした。

グループの皆さまとは、半年後の再会を楽しみにしています。